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こんにちは、JACK(2級FP技能士)です。
結論から書きます。ドバイの投資グループ「AIX Investment Group」(以下、AIX)をめぐって、2026年9月に、AIXグループの会社などへの支払いを求める訴えと、AIXの債券を出す会社「AIX Secure SPV Ltd」への清算の申し立てが報じられました。
ADIF JAPANアセットマネジメントが掲載したAIXの9月15日付の声明は、遅延はドバイ地域に限られ、ADIFは独立した運営体制を保っていて、影響を受けていないと説明しています。また、AIX Secure SPV Ltdの9月26日付の声明は、市場の変動が商品の限られた部分に影響し、専門家を入れて対応を進めているとしています。
日本では、ADIFグループがAIXの公認エージェントとして、「ADICO オーナーズクラブ」や「Dubai Investor」という日本の合同会社の社員権を募集してきました。日本の契約者への分配に影響が出ているかどうかは、2026年10月17日の時点で、公開されている情報からは確かめられません。契約している人は、契約書の支払いの条件、実際の入金、お金の行き先の商品名の3つを、まず手元で確かめてください。この記事では、AIX Investment Groupを「AIX」と書き、個別の会社の話は会社の名前で書きます。
2026年9月から10月に、AIXをめぐって起きたこと
AIX側の2つの声明
2026年3月17日、ADIF側はAIXのメッセージを掲載し、AIXが出すスクークと債券について、配当の支払いと償還は契約内容と運用計画に基づき予定どおり行われていると伝えていました(ADIF JAPANアセットマネジメント、2026年3月17日)。この説明と、その後の声明や報道が、同じ商品や投資家を対象にしているかどうかは確かめられません。
9月15日、AIXはADIFの投資家に向けた声明を出しました。一部で起きた遅延はドバイ地域に限られ、法令を守るための手続きを強めたことによるもので、ADIFは独立した運営体制を保っていて影響を受けていない、という内容です(ADIF JAPANアセットマネジメント、2026年9月18日掲載)。
9月26日には、AIXの債券を出しているケイマン諸島の会社AIX Secure SPV Ltdが声明を出しました。世界の市場の大きな変動が「AIXの商品の限られた部分」に影響したこと、国際的な法律事務所や立て直しの専門家を入れたこと、影響を受けた投資の立て直しを進めていること、10月12日までに投資家へ詳しく報告することが書かれています。同じ声明は、商品の大半は影響を受けておらず、それらの商品では支払いを続けている、としています(AIX、2026年10月17日確認)。
10月12日までに行うとした報告は、10月17日の時点で、公開のページには見つかりませんでした。投資家に個別に届いているかどうかは、確かめられていません。
報道:ドバイの裁判所に2件の訴え
中東の経済メディアAGBIによると、ドバイ国際金融センター(DIFC)の裁判所に、AIXグループの会社などを相手にした訴えが2件起こされています。2026年6月の訴えは2,900万ディルハム(約790万ドル)を求めるもので、原告は2025年11月に期限を迎えた支払いが行われなかったと主張しています。8月の訴えは約180万ドルを求めるもので、利払いが行われなかったことなどを主張しています。AGBIは、どちらも係争中で、裁判所の判断は出ていないと伝えています(AGBI、2026年9月29日)。その後の裁判所の判断は、この記事では確かめられていません。
報道:ケイマン諸島で清算の申し立て
金融専門メディアのGlobal Restructuring Reviewは2026年9月28日、ケイマン諸島の裁判所に、AIX Secure SPV Ltdの清算の申し立てが出されたと報じました。申し立てたのはこの会社の債券を持つ投資家で、利払いが止まり、満期の元本が払われていないと主張している、と伝えられています。清算の申し立ては、裁判所に会社の清算を求める手続きで、申し立てただけで清算が決まるわけではありません。清算が始まった場合も、債権者がいくら回収できるかは別の問題です。申し立てに対する判断や、その後の手続きは、裁判所の公表資料や続報で確かめる必要があります。
ケイマン諸島の当局の発表
ケイマン諸島の金融当局(CIMA)は2026年9月14日、AIX Secure SPV Ltdについて、ケイマン諸島で、またはケイマン諸島から証券投資業を行うための、当局の登録、免許、規制上の監督、その他の認可を、これまで受けていないと発表しました。この会社がケイマン諸島で規制を受けているとする表示について、複数の苦情が寄せられたことを受けた発表で、そうした表示がある場合に取引を考えるときは注意するよう呼びかけています(CIMA、2026年10月17日確認)。この発表は、この会社に対するCIMAの登録や認可の有無を示すもので、個々の取引が違法かどうかや、詐欺かどうかを判断したものではありません。
報道:英FTの記事
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は2026年9月27日、AIXについて報じました。FTの記事は有料のため、ここでは英国の金融業界メディアInternational Adviserが9月29日付の記事で紹介した内容を書きます。それによると、AIXは投資家から、支払いの遅れや停止をめぐって法的な手続きを取られているとされています。この紹介記事は、影響が数千人に及ぶ可能性があることや、地元の当局が問い合わせのためにAIXの事務所を訪れたとされることも伝えています。また、支払いの遅れが約9か月前に始まり、2026年の半ばには利益の送金が止まったとする内容も伝えています(International Adviser、2026年9月29日)。ただし、この紹介記事からは、どの商品やどの投資家が対象なのかは分かりません。AIX Secure SPV Ltdは、先の声明で、商品の大半は影響を受けていないと説明しています。

日本のADICO・Dubai Investorとの関係
日本の投資家が持つのは、日本の合同会社の「社員権」
ADIFグループの説明では、「ADICO オーナーズクラブ」と「Dubai Investor」は、どちらも合同会社の社員権の仕組みです(ADIFグループ報告書、2026年1月19日)。社員権は、合同会社に出資して、その会社の持ち主の一人になる権利で、会社にお金を貸して利息を受け取る通常の社債とは、権利の中身が違います。「ドバイの社債」と説明されることがありますが、ADIF側の説明では、日本の投資家が取得するのは日本の合同会社の社員権で、その先の投資先がAIXの出すスクークです。スクークはイスラム金融で使われる証券で、通常の社債とは仕組みが違います。
条件が公開されている2024年9月のDubai Investorの募集の案内では、1口50万円、目標利回り年9.6%(税引き前)、運用開始から4か月目以降に毎月15日に分配、4年満期で解約の申し出がなければ1年ずつ自動更新、とされています。案内には「目標利回りは現時点のものであって将来の運用成果を保証するものではありません」とも書かれています(ADIF JAPAN合同会社、2026年10月17日確認)。これは2024年時点のDubai Investorの条件で、いまの条件や、ADICO オーナーズクラブの条件を示すものではありません。
お金の流れの説明は、資料によって違う
2024年9月のDubai Investorの募集の案内には、出資金は全額ADIF GROUPを経由してAIXへ送金される、と書かれています。一方、2026年1月19日のADIFグループの報告書では、出資金の50%以上を、グループの資金運用会社とされるパナマの会社を通じてAIXのスクークに充て、残りは運営管理を担うとされる国内の会社に送り、広告宣伝費を含む販売費・一般管理費に使う、と説明されています。
2つの資料では、お金の配分の説明が違います。対象の契約や時期の違いによるものなのか、説明が違う理由は、この記事で確かめた資料だけでは分かりません。契約している人は、自分の契約に当てはまるお金の配分と、その根拠になる資料を、契約の相手に確かめてください。
報告書は、投資家への分配の元手を、新たな投資家からの出資金ではなく、AIXの債券から得られる「利金」だけだと説明しています。これは報告書の説明で、実際の送金や資金の使い道が説明と合っているかは、公開情報からは確かめられません。この説明を前提にすると、AIXの債券から予定どおり収益を受け取れるかどうかは、日本の契約者への分配を考えるうえでも大事な点です。ただし、それだけで分配が続くかどうかが決まるわけではありません。AIX Secure SPV Ltdが影響を認めた「一部の商品」に日本の投資家のお金が入っているかどうかは、公開情報では分かりません。

日本の当局の動き
ADIF JAPANアセットマネジメント株式会社は、金融庁の金融商品取引業者登録一覧(2026年8月31日現在)に、関東財務局長(金商)第1877号として載っています。ただし、この会社の登録は、グループの別の会社が扱う商品や個々の勧誘について、当局が安全だと保証するものではありません。ADIF、ADICO、AIXの名前は、金融庁の無登録業者の一覧には見当たりませんでしたが、一覧に載っていないことだけで問題がないとは言えません(金融庁、2026年10月17日確認)。
金融庁は、特定の会社を名指しせずに「合同会社等の社員権の取得勧誘にご注意ください!」という注意喚起を出しています。そこでは、使用人や従業員を含め、その合同会社の業務執行社員以外の人が取得の勧誘に関わり、その勧誘が業として行われる場合には、金融商品取引業の登録が必要になると説明しています(金融庁、2026年10月17日確認)。ADIFグループは、業務執行社員が自ら募る「自己募集」は顧問弁護士の見解として金融商品取引業に当たらない、と説明しています(ADIFグループ報告書、2026年1月19日)。個々の勧誘がどちらに当たるかは、この記事では判断していません。
分配が遅れたときに確かめる5つ
ここからは、AIXに限らず、日本の合同会社の社員権や私募の商品を通じて、海外の投資先にお金が流れる商品を持っている人が、分配が遅れたときに確かめる順番です。
1. 支払いの条件と、実際の入金を照らし合わせる
契約書に書かれた支払いの条件、会社からの分配の通知、実際に入った日と金額を照らし合わせ、通帳や取引の明細を保存します。目標利回りは目標で、契約上支払う義務のある金額とは限りません。目標を下回っただけで契約違反になるとは限らないので、両者を分けて見ます。募集の資料、契約書、社員権証書、勧誘のときの説明、問い合わせと回答も、まとめて保存しておきます。
2. 契約の相手と、もめたときの手続きを確かめる
契約の相手の正式な会社名と所在地に加えて、契約書に、どこの国の法律を当てはめると書かれているか(準拠法)、どこの裁判所で争うと書かれているか(裁判管轄)、仲裁の定めがあるかを確かめます。相手が日本の会社か海外の会社かだけで、使える手続きが決まるわけではありません。これらの定めが有効か、どこまで当てはまるかも含め、使える手続きは、契約書を持って弁護士に確かめてください。
3. お金の行き先の会社名と商品名を、書面で聞く
自分のお金が、最後にどの会社のどの商品に入っているのか、その商品の支払いの状況はどうかを、メールなど記録に残る形で問い合わせます。今回なら、AIXのどの商品か、その商品はAIX Secure SPV Ltdが影響を認めた一部に入るのか、分配の元手はいまもAIX側から届いているのか、の3つです。返ってきた答えは保存しておきます。
4. 解約・更新・払い戻しの条件を読み直す
契約の期間、途中でやめられるか(退社の可否)、申し出の期限と方法、必要な書類、手数料、払い戻す額の計算方法、支払いの時期を確かめます。申し出ができることと、希望する額が希望する時期に支払われることは別です。自動更新の契約では、申し出の期限を過ぎると、さらに1年延びることがあります。期限が近い場合は、問い合わせや専門家への相談だけで、期限を守ったことになるとは限らない点に注意してください。申し出の方法と、期限までに届いている必要があるかを確かめ、送った内容と届いたことが分かる記録を残してください。
5. 追加の出資と、新しい紹介を控える
状況がはっきりするまで、口数を増やしたり、家族や知人に勧めたりするのは控えてください。そのうえで、下の公的な窓口や弁護士に相談します。

「取り戻せる」という広告に注意
支払いが遅れている投資の名前で検索すると、「被害金を取り戻せる」とうたう広告が出てくることがあります。広告や投稿だけで依頼先を決めず、相手の資格、契約の中身、費用を確かめてください。突然連絡してきて返金を約束したり、先に手数料を求めたりする相手には、その場でお金を払わないでください。
相談先
- 消費者ホットライン:188(身近な消費生活センターなどの相談窓口を案内します。相談は無料ですが、通話料はかかります)
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811(金融サービスについての相談を受け付け、相談先を案内します。個別のもめごとを解決する窓口ではありません)
- 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(使える法制度や相談窓口を案内します)
- 契約の解除や返金の請求など個別の判断は、弁護士に相談してください
勧誘されたときに確かめる3つの質問
日本の合同会社などを通じて海外の投資先にお金が流れる商品を勧められたら、次の3つに答えが出るまで、お金を入れないことをおすすめします。
- 自分のお金は、最後にどこの会社の、どの商品に入るのか
- お金を出す先の会社、契約の相手、勧誘する会社は、それぞれどの国のどの当局に、何の業務の登録や認可があるのか。その根拠の資料は何か
- 分配や利払いが行われないとき、誰にどんな権利を使えるのか。元本を返す義務や保証はあるのか、損失を負うのはどんなときか
登録や認可があっても、その商品が安全だとか、元本が戻ると保証されるわけではありません。勧めてくれる人が知人でも、その人の人柄と、お金の行き先が確かかどうかは、分けて考えます。
よくある質問
ADICOは詐欺ですか?
この記事で確かめた公表資料からは、ADICO、ADIF、AIXを詐欺だと断定することはできません。ADIFグループは、新しい出資金を配当に回す「ポンジ・スキーム」とは全く違うと説明しています。ケイマン諸島の当局の発表、支払いを求める訴え、清算の申し立ては、それぞれ相手も意味も違い、どれも詐欺が確定したことを示すものではありません。
日本の契約者の分配は止まっていますか?
公開されている情報では確かめられません。ADIF JAPANアセットマネジメントが9月18日に掲載したAIXの9月15日付の声明は、ADIFへの影響はないと説明しています。これはその声明での説明で、10月17日時点の個々の契約の入金を確かめたものではありません。ご自身の分配は、契約上の支払いの条件、分配の通知、入金の明細を照らし合わせて確かめてください。
清算の申し立てで、清算は決まったのですか?
申し立てだけで清算が決まるわけではありません。この記事で確かめた報道は、清算の申し立てが行われたことを伝えるもので、裁判所が清算を命じたことを示すものではありません。
まとめ
AIXをめぐっては、2026年9月に、AIXグループの会社などへの支払いを求める訴えと、AIX Secure SPV Ltdへの清算の申し立てが報じられ、ケイマン諸島の当局も発表を出しました。AIXの9月15日付の声明は遅延をドバイ地域に限られるものと説明し、AIX Secure SPV Ltdの9月26日付の声明は商品の限られた部分に影響があったとしています。日本のADICOやDubai Investorの分配への影響は、公開情報では確かめられません。ADIFグループ自身の説明では、分配の元手はAIXの債券の利金です。契約している人は、契約書の条件、入金の記録、お金の行き先の商品名を手元にそろえ、必要なら公的な窓口や弁護士に相談してください。
出典
- ケイマン諸島金融庁(CIMA)「AIX Secure SPV Ltd – Not Regulated by CIMA」2026年9月14日
- AIX「Statement from AIX Secure SPV Ltd」2026年9月26日
- ADIF JAPANアセットマネジメント「インターネット上の情報に関するAIX Investment Groupの見解および運営状況のご報告」2026年9月18日
- ADIF JAPANアセットマネジメント「中東情勢に関するAIX Investment Groupからの重要なお知らせ」2026年3月17日
- ADIFグループ「ADIFグループの投資事業に関する透明性」2026年1月19日
- ADIF JAPAN合同会社「資産運用のご案内 海外投資 Dubai Investor」2024年9月
- AGBI「Dubai’s AIX faces $10m claims over alleged missed payments」2026年9月29日
- Global Restructuring Review「AIX faces Cayman liquidation over alleged investor payment failures」2026年9月28日
- International Adviser「Investors take legal action against Dubai investment group」2026年9月29日
- 金融庁「合同会社等の社員権の取得勧誘にご注意ください!」
- 金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」
- 消費者庁「消費者ホットライン」
- 金融庁「金融サービス利用者相談室」
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」
※この記事は、2026年10月17日の時点で確かめられた公開情報をもとに書いています。特定の会社や商品が違法かどうか、詐欺かどうかを判断するものではありません。訴えや清算の申し立てが行われたことは、未払いなどの主張が裁判所に認められたことを意味しません。投資の判断は、ご自身で、必要に応じて弁護士などの専門家に相談したうえで行ってください。
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