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米国株に興味はあるけれど、手数料や税金の話が出てきた途端に手が止まってしまう。
そう感じるのは自然なことです。実際、米国株には日本株にはない為替という要素が入ります。配当も、課税口座では米国と日本の両方で税金がかかり、NISA口座でも米国側の税金は残ります。難しそうに見えるのは無理もありません。
ただ、最初に押さえるべき論点はそれほど多くありません。
米国株は1株から買えること。コストは売買手数料と為替手数料、投資信託やETFなら信託報酬の3つに分けて考えること。配当は二重課税になるが、課税口座なら確定申告で一部を取り戻せること。
この3点が整理できれば、あとは自分に合う買い方を選ぶだけです。
この記事では、投資家JACKとして、また2級ファイナンシャル・プランニング技能士の視点から、米国株の始め方をコストと税金を中心にまとめます。
なお米国株は元本が保証された商品ではありません。株価が下がれば損失が出ますし、円高が進めば円換算の資産が目減りする為替リスクもあります。その前提で読み進めてください。
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米国株は1株から買える。銘柄によっては数千円から始められる
米国株を始めるうえで、最初に知っておいてほしいのがこの点です。
米国株は1株単位で売買できます。日本株のように100株をまとめて買う必要はありません。
日本株との売買単位の違い
日本株は原則として100株が1単元です。株価2,000円の銘柄なら、最低でも20万円が必要になります。
一方の米国株は1株から注文できるため、1株50ドルの銘柄なら、日本円でおよそ8,000円前後(為替レートによって変動します)から保有できる計算です。
- 日本株:原則100株単位。1銘柄あたり数万円から数十万円が必要
- 米国株:1株単位。銘柄によっては数千円から購入できる
- 証券会社によっては金額を指定して小数点以下の株数で買えるサービスもある
まとまった資金がないと始められない、という思い込みは米国株には当てはまりません。少額で試しながら慣れていける点は、初心者にとって大きな利点だと私は考えています。
口座開設から購入までの流れ
手順そのものはシンプルです。
- 証券会社の総合口座を開設する(同時にNISA口座も申し込める)
- 外国株式の取引口座を開設する(多くの場合オンラインで完結)
- 円を入金する
- 円のまま買う(円貨決済)か、ドルに両替してから買う(外貨決済)かを選ぶ
- 銘柄と株数を指定して注文する
どの証券会社を選ぶかで手数料も取扱銘柄も変わります。まだ口座を決めていない方はネット証券の選び方5つの基準を先に読んでおくと、比較の軸がはっきりします。
注文の前に知っておきたい米国株のルール
米国株の注文画面で戸惑いやすい点を3つ整理しておきます。
- 銘柄は「ティッカー」で探す:米国株には、日本株の証券コードの代わりに、アルファベットの略称(ティッカー)が付いています。たとえばアップルは「AAPL」です。社名で検索すると似た名前の別の銘柄が出ることがあるので、ティッカーで確かめてから注文すると安心です。
- 市場が開くのは日本の夜:米国の取引所の通常の取引時間は、日本時間で23時30分から翌朝6時までです。米国の夏時間(原則として3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まで)の間は1時間早まり、22時30分から翌朝5時までになります。昼間に注文を出しておける証券会社や、通常の時間の前後にも取引できる証券会社もあるため、日本での取引時間や注文の受付時間は、利用する証券会社の案内も確認しましょう。
- ストップ高・ストップ安がない:日本株には1日に動ける値幅の上限(値幅制限)がありますが、米国株にはこれがありません。急な値動きのときに売買が一時止まる仕組みはあるものの、1日で大きく上下することがあります。価格を指定しない「成行注文」は想定と離れた価格で成立することもあるため、買う価格の上限を決められる「指値注文」の使い方も覚えておきましょう。
米国株にかかるコストは3つに分けて考える
米国株のコストは複雑に見えますが、正体は3つだけです。売買手数料、為替手数料、そして投資信託やETF経由なら信託報酬。この3つに分解すると一気に見通しがよくなります。
売買手数料
個別の米国株を買うときにかかる手数料です。主要ネット証券では約定代金の0.495%(税込)で上限22米ドル、といった水準が長く目安になってきました。
近年は競争が進み、一定の条件下で無料としている証券会社もあります。ここは各社の差が出やすい部分なので、口座を選ぶ段階で必ず確認してください。
為替手数料(円をドルに替えるときのスプレッド)
米国株はドル建ての商品です。円をドルに替える際、市場のレートに上乗せされる差額が実質的な手数料になります。これがスプレッドです。
- 従来は片道1ドルあたり25銭前後が標準的な水準だった
- 現在は引き下げや無料化の動きが広がり、数銭以下やゼロという条件も出ている
- 円貨決済は手軽だが、為替の上乗せ幅が外貨決済より不利になる場合がある
- 売却して円に戻すときにも同じくスプレッドがかかる(往復で発生する)
1回の金額は小さく見えても、積立で毎月両替するなら回数分だけ積み上がります。売買手数料だけでなく為替コストまで含めて比較したい方はネット証券おすすめランキングも参考にしてみてください。
投資信託やETF経由なら信託報酬
投資信託や上場投資信託(ETF)を通じて米国株に投資する場合、保有している間ずっと差し引かれる運用コストがかかります。これが信託報酬(ETFでは経費率)です。
- S&P500に連動する国内の低コスト投資信託は年0.1%前後、あるいはそれを下回る水準もある
- 米国上場のインデックスETFは年0.03%前後という低さのものもある
- ただし米国ETFは購入時に売買手数料と為替手数料が別途かかる
信託報酬は差し引かれた後の基準価額が公表されるため、支払っている実感が湧きにくいコストです。だからこそ数字で確認する習慣が効いてきます。商品ごとの見極め方は投資信託の選び方で整理しています。
米国株の配当は二重課税になる。外国税額控除で取り戻す
ここが米国株でいちばん誤解の多いところです。米国株の配当金には、米国と日本の両方で税金がかかります。
配当が手取りになるまでの流れ
- まず米国で10%が源泉徴収される(日米租税条約に基づく税率)
- 残った金額に対して、日本でおよそ20.315%が課税される
- 結果として、配当のうち手元に残るのは7割強という計算になる
100ドルの配当が出たとすると、米国で10ドルが引かれて90ドル。そこに日本で約20.315%がかかるので、手取りはおよそ71ドル台という水準です。
同じ100ドルでも、日本株の配当なら国内課税だけで済みます。この差が二重課税と呼ばれるものです。
外国税額控除で一部を取り戻せる
課税口座(特定口座や一般口座)で受け取った配当については、確定申告で外国税額控除を使うことで、米国で引かれた税額の一部を日本の税金から差し引けます。
- 制度上の控除限度額は、その年の所得や国外所得の割合によって決まる
- そのため米国で引かれた10%が全額戻るとは限らない
- 控除を受けるには確定申告が必要(自動では調整されない)
- 配当を申告する場合、他の所得との兼ね合いで有利不利が変わることもある
全額が返ってくる制度ではない、という点は正確に理解しておいてください。二重課税の重さを和らげる仕組み、という位置づけです。
新NISAで米国株を買うときの注意点
新NISAでも米国株や米国株型の投資信託は購入できます。ただし税金の扱いには、知っておくべき固有の論点があります。
NISA口座では外国税額控除が使えない
NISA口座で受け取った配当は、日本側の税金が非課税です。
外国税額控除は日本で課税される税金から差し引く制度なので、差し引く元の税金が存在しないNISA口座では使えません。
つまり、米国で源泉徴収された10%は引かれたままになります。
それでもNISAが不利になるわけではない
ここを誤解して、NISAだと損をすると考えてしまう方がいます。しかし比較すべきは課税口座との手取りです。
- 課税口座:米国10% + 日本約20.315%が差し引かれ、確定申告で一部を取り戻す
- NISA口座:米国10%のみ差し引かれ、日本側は非課税
米国の10%が戻らないという一点だけを見れば不利ですが、日本側の約20.315%がまるごとかからない効果のほうが通常は大きくなります。値上がり益が非課税になる点も含めれば、NISAを避ける理由にはなりません。
なお、国内の投資信託を通じて米国株に投資する場合も、ファンドの内部で米国の税金が差し引かれる構造は同じです。NISAで保有していてもその部分は取り戻せません。
また、税制や税率は改正されることがあります。実際に申告や商品選びを行う際は、国税庁や証券会社の最新情報を必ず確認してください。
個別株は成長投資枠で買う。NISAで出た損失は相殺できない
新NISAで米国の個別株を買う場合は、税金のほかに枠のルールも押さえておきましょう。
- 米国の個別株を買えるのは成長投資枠です。成長投資枠は年間240万円まで、生涯では1,200万円まで使えます(つみたて投資枠と合わせた生涯の上限は1,800万円)。
- つみたて投資枠で買えるのは、長期の積立・分散投資に向く一定の投資信託などに限られ、個別株は対象外です。
- NISA口座で値下がりした株を売っても、その損失は特定口座などの利益と相殺(損益通算)できず、翌年以降に繰り越すこともできません。
- 売った株を買ったときの金額(簿価)の分だけ、生涯の非課税保有限度額が翌年以降に再び使えるようになります。年間投資枠が増えるわけではありません。
1社の値動きに左右されやすい個別株では、NISAで出た損失が税金の面で生かせない点も踏まえて、どの口座で持つかを考えておくと迷いにくくなります。
買い方は3つ。初心者はどこから始めるべきか
米国株への投資ルートは大きく3つあります。それぞれ性格が違います。
個別株
特定の企業の株を直接買う方法です。銘柄選びの自由度が高く、うまくいけばリターンも大きくなり得ます。
一方で、1社に集中するぶん値動きは荒くなります。決算やニュースを継続的に追う手間もかかります。
米国ETF
米国市場に上場している投資信託です。1本でS&P500や全米株式に丸ごと分散でき、経費率の低さが魅力です。
ただし取引はドル建てで、購入のたびに売買手数料と為替手数料がかかります。分配金も自動では再投資されず、都度ドルで受け取る形になります。
日本の投資信託
S&P500連動型や全世界株式型など、円で買えて100円から積み立てられる商品です。
為替の両替は運用会社側で処理されるため、投資家が両替操作をする必要はありません。分配金を出さずに内部で再投資する設計の商品も多く、手間が最小限で済みます。
私が初心者の方に最初の一歩としてすすめやすいと考えているのは、日本の投資信託です。
少額から積み立てられ、為替の操作も不要で、NISAのつみたて投資枠にも対応しているためです。まず投資信託で市場に慣れ、値動きへの耐性ができてから米国ETFや個別株に広げていく順番なら、無理が少なくなります。
投資信託から始める場合、最初に迷うのがS&P500型にするか全世界株式型にするかという選択でしょう。この論点はオルカンとS&P500の比較で詳しく扱っています。
個別株に進むときに確かめておきたいこと
投資信託に慣れてから個別株に広げる場合は、次の点を知っておくと判断の土台になります。
- 1社の出来事がそのまま値動きに出る:投資信託なら多くの銘柄に分散されて薄まる業績悪化や不祥事の影響を、個別株では直接受けます。大企業でも短い期間で株価が大きく下がることはあります。
- 決算は3か月ごとに発表される:米国企業は四半期ごとに決算を発表します。売上高、1株あたりの利益(EPS)、会社が示す今後の見通し(ガイダンス)は、株価が大きく動くきっかけになりやすい項目です。
- 割高か割安かの目安にPERを使う:PER(株価収益率)は、株価を1株あたりの利益で割った数字です。成長が期待される会社ほど高くなりやすいため、数字だけで判断せず、同じ業種の会社や過去の水準と比べて使います。
- 一次情報は英語で無料公開されている:米国企業の多くは、年次報告書(10-K)や四半期報告書(10-Q)を米国証券取引委員会(SEC)に提出しており、SECのデータベース「EDGAR」で誰でも無料で読めます。米国以外の国の企業などは、提出する書類の種類が異なる場合があります。
まとめ
米国株の始め方について、押さえておきたい要点を整理します。
- 米国株は1株単位で買えるため、銘柄によっては数千円から始められる
- コストは売買手数料、為替手数料(スプレッド)、投資信託やETFなら信託報酬の3つに分けて考える
- 配当は米国で10%、さらに日本で約20.315%課税される二重課税になる
- 課税口座なら確定申告の外国税額控除で一部を取り戻せる。ただし全額が戻るとは限らない
- NISA口座は日本側が非課税のため外国税額控除が使えず、米国の10%は引かれたまま
- それでも日本側の課税がゼロになる効果は大きく、NISAを避ける理由にはならない
- 買い方は個別株、米国ETF、日本の投資信託の3つ。初心者は投資信託かETFから
米国株は元本が保証された商品ではありません。株価の下落に加えて、円高が進めば円換算の資産は目減りします。
だからこそ、一度にまとめて投じるのではなく、少額を長期で積み上げていく形が現実的です。
仕組みが分かってしまえば、米国株は特別に難しい商品ではありません。
コストと税金の構造を先に理解しておくこと。それが、途中で不安になって手放してしまう事態を防ぐいちばんの備えになります。
この記事のポイントを踏まえて、次の一歩を
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