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ふるさと納税で税金の控除を受けるには、「ワンストップ特例制度」を使う方法と、「確定申告」をする方法の2つがあります。どちらを選ぶかで、手続きの手間・期限・控除される税金の種類が変わります。
結論を先にお伝えすると、次のように考えるのがシンプルです。
- 会社員などで、寄付先が年間5自治体以内、ほかに確定申告の予定がない人 → ワンストップ特例が手軽でおすすめ。
- 自営業・フリーランスの人、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など別の理由で確定申告をする人、寄付先が6自治体以上の人 → 確定申告で一本化する必要があります。
この記事では、2級ファイナンシャル・プランニング技能士が、総務省・国税庁などの公式情報(2026年9月時点)をもとに、両者の違いと選び方を中立的に解説します。なお、ふるさと納税の仕組みそのものや上限額の計算についてはふるさと納税 完全ガイドもあわせてご覧ください。
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まず結論:ワンストップ特例と確定申告の違いを比較表で整理
2つの制度の違いを、対象者・手続き・期限・控除先の4つの軸で比較すると次のようになります。
| 比較項目 | ワンストップ特例制度 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 対象者 | もともと確定申告が不要な給与所得者(会社員・公務員など)で、寄付先が年間5自治体以内の人 | 自営業・フリーランス、または医療費控除など別の理由で確定申告をする人、寄付先が6自治体以上の人 |
| 手続き | 寄付ごとに「特例申請書」を各自治体へ提出(郵送またはオンライン) | 1年分の寄付をまとめて確定申告書に「寄附金控除」として記載 |
| 期限 | 寄付した翌年の1月10日(必着) | 原則、寄付した翌年の2月16日〜3月15日 |
| 控除される税金 | 全額が翌年度の住民税から控除(所得税からの還付はなし) | 所得税(および復興特別所得税)からの還付+翌年度の住民税からの控除 |
| 必要書類 | 特例申請書+マイナンバー・本人確認書類 | 寄付の証明書類、源泉徴収票など |
総務省によると、ワンストップ特例制度は「確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組み」とされています(2026年9月時点)。一方、確定申告は所得税と住民税の両方から控除を受ける本来の方式です。控除される税金の入り口は違いますが、適用される控除の合計額(自己負担2,000円を除く)はどちらの方法でもほぼ同じになります。手取りの総額で大きく損得が出るわけではない点は、最初に押さえておきましょう。
ワンストップ特例制度とは?対象者と仕組み
ワンストップ特例制度は、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除を受けられるようにした、会社員向けの簡易な手続きです。
対象になる人の条件
ふるさと納税ポータルサイトおよび総務省の案内によると、ワンストップ特例を使えるのは、次の2つの条件を両方満たす人です(2026年9月時点)。
- もともと確定申告が不要な給与所得者であること。会社の年末調整だけで納税が完了する会社員・公務員などが該当します。
- 1年間(1月〜12月)の寄付先が5自治体以内であること。
ここで注意したいのが「5自治体以内」のカウント方法です。これは寄付の回数ではなく、寄付した自治体の数で数えます。同じ自治体に1年間で何回寄付しても、自治体としては「1」とカウントされます。たとえばA市に3回、B町に2回寄付しても、自治体数は「2」なので条件を満たします。
申請の流れと期限
ワンストップ特例を使う場合の大まかな流れは次のとおりです。
- 寄付の際に、申し込みフォームで「ワンストップ特例の申請書を希望する」を選ぶ。
- 自治体から届く(またはポータルサイトでダウンロードする)「特例申請書」に記入する。
- マイナンバー確認書類・本人確認書類を添えて、寄付先の自治体ごとに提出する。
提出期限は、寄付をした翌年の1月10日(必着)です。郵送の場合は1月10日までに自治体へ到着している必要があり、消印有効ではありません。オンライン申請に対応している場合も、原則として1月10日までに完了させる必要があります。年末ぎりぎりに寄付した分は申請が間に合わないこともあるため、早めの手続きが安心です。
郵送するときの添付書類と、オンライン申請
紙の特例申請書を郵送するときは、マイナンバー(個人番号)を確認できる書類と、本人確認書類のコピーを一緒に送ります。一般的な組み合わせは次のとおりです。細かい決まりは自治体によって違うことがあるため、寄付先から届く案内もあわせて確認してください。
- マイナンバーカードを持っている人:カードの表面と裏面のコピー。1枚でマイナンバーの確認と本人確認の両方を兼ねられます。
- マイナンバーカードを持っていない人:マイナンバーが分かる書類(通知カード、またはマイナンバーが記載された住民票の写し)と、運転免許証など、寄付先の自治体が指定する本人確認書類のコピー。
通知カードは2020年5月25日に廃止されていますが、書かれている氏名・住所が今の住民票と同じであれば、今もマイナンバーを証明する書類として使えます。引っ越しなどで内容が変わっている場合は使えないため、マイナンバーが記載された住民票の写しを使いましょう。
また、総務省によると、2022年(令和4年)中の寄付から、一部の自治体でマイナンバーカードを使ったオンライン申請ができるようになっています。スマートフォンでカードを読み取って申請するため、郵送の手間がかかりません。対応しているかどうかや、どのサービスで申請できるかは自治体ごとに違うため、寄付のあとに届く案内や寄付先の自治体のページで確認してください。
申請書を出したあとに、引っ越しや結婚などで住所・氏名が変わった場合は、寄付した翌年の1月10日までに、寄付先の自治体へ変更届出書を提出する必要があります。
控除はすべて住民税から
ワンストップ特例を使うと、控除される金額の全額が、翌年度の住民税から差し引かれます。確定申告のように所得税が還付(口座へ振り込み)されることはなく、住民税の減額という形で恩恵を受けることになります。給与明細や住民税の通知書で、6月以降の住民税が減っていることで確認できます。
確定申告とは?こんな人は確定申告が必要
確定申告は、1年間の所得や控除をまとめて申告し、所得税を精算する手続きです。ふるさと納税の寄付金控除も、この確定申告のなかで申告します。
確定申告が必要になる主なケース
次のいずれかに当てはまる人は、ワンストップ特例ではなく確定申告で寄付金控除を申告します。
- 自営業・フリーランス・個人事業主など、もともと確定申告をする人。
- 寄付先が年間6自治体以上になった人。この場合はワンストップ特例の対象外です。
- 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など、ふるさと納税以外の理由で確定申告をする人。
- 給与収入が2,000万円を超える人や、副業などで一定額以上の所得があり確定申告が必要な人。
確定申告での控除の仕組み
国税庁によると、確定申告でふるさと納税を申告した場合、控除上限の範囲内であれば、寄付額から自己負担2,000円を除いた額が、その年分の所得税(および復興特別所得税)と、翌年度の個人住民税に分かれて控除されます(2026年9月時点)。所得税分は確定申告後に還付され、住民税分は翌年度の住民税から差し引かれる形です。手続きには、自治体から届く寄付の証明書類(寄附金受領証明書や、ポータルサイト発行の年間寄付額の証明書)と源泉徴収票などが必要です。
確定申告で使う書類と、e-Taxでの手順
ふるさと納税の寄付金控除を確定申告で受ける場合は、次のものを用意します。
- 寄付の証明書類:寄付先の自治体から届く寄附金受領証明書です。令和3年分の確定申告からは、国税庁長官が指定したポータルサイト事業者などが発行する、1年分の寄付をまとめた「寄附金控除に関する証明書」を代わりに使うこともできます。
- 源泉徴収票:給与の金額や、すでに差し引かれている所得税の額を入力するのに使います。
- マイナンバーカード:ここで紹介するマイナンバーカード方式でe-Taxから提出する場合に用意します。
- 還付金を受け取る口座:申告する本人の預貯金口座を指定します。
e-Taxを使う場合の大まかな流れは次のとおりです。
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を開き、e-Taxで提出する方法を選ぶ。
- マイナンバーカードを読み取ってログインする。マイナポータル連携を使うと、対応している証明書のデータを自動で取り込めます。
- 源泉徴収票を見ながら、給与の金額などを入力する。
- 寄附金控除の画面で、寄付の内容を入力する。ポータルサイトからXML形式の証明書データをダウンロードしている場合は、そのデータを読み込むと自動で反映されます。
- 計算結果と申告内容を確認して、送信する。
ふるさと納税の控除を受けるためだけに確定申告をする会社員は、多くの場合「還付申告」(払いすぎた所得税を返してもらう申告)にあたります。国税庁によると、還付申告は確定申告の期間とは関係なく、寄付した年の翌年1月1日から5年間提出できます。2月16日の受付開始を待たずに出すこともできるので、書類がそろったら早めに済ませておくと安心です。
「あなたはどっち?」3ステップ判定フロー
自分がどちらを選ぶべきか、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- あなたは会社員・公務員などで、年末調整だけで納税が完了していますか?
いいえ(自営業・フリーランスなど)→ 確定申告。
はい → ステップ2へ。 - 医療費控除・住宅ローン控除(初年度)など、ふるさと納税以外で確定申告をする予定はありますか?
はい → 確定申告(ふるさと納税もまとめて申告)。
いいえ → ステップ3へ。 - 1年間の寄付先は5自治体以内ですか?
いいえ(6自治体以上)→ 確定申告。
はい → ワンストップ特例が手軽でおすすめ。
このフローのポイントは、「確定申告をする理由が1つでもあるなら、ふるさと納税も確定申告に一本化する」という点です。次のFAQで、併用に関するよくある誤解を解説します。
よくある質問(FAQ)
Q1. ワンストップ特例と確定申告は併用できますか?
併用はできません。ワンストップ特例の申請書を提出していても、その後に確定申告をすると、ワンストップ特例の申請はなかったもの(無効)として扱われます。そのため、確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄付分も忘れずに確定申告書へ記載する必要があります。記載を漏らすと、ワンストップ特例は無効になったうえ、確定申告でも寄付金控除が申告されていない状態になります。気づいたときは、国税庁によると「更正の請求」(提出した申告の内容を直してもらう手続き)で寄付金控除を受けられます。ただし、寄付金控除を入れても所得税の額が変わらない場合は更正の請求ができないため、お住まいの市区町村に相談してください。
Q2. ワンストップ特例を申請したあとに、医療費控除で確定申告することになりました。どうすればいいですか?
その場合は、確定申告のなかでふるさと納税の寄付金控除もあわせて申告してください。先に出したワンストップ特例の申請は無効になるため、改めて確定申告で寄付分を申告し直す形になります。自治体への取り下げ連絡は原則不要ですが、確定申告書に寄付額を必ず含めることが重要です。
Q3. 期限を過ぎてしまったら控除は受けられませんか?
ワンストップ特例の申請(翌年1月10日必着)に間に合わなかった場合でも、確定申告をすれば控除を受けられます。確定申告は原則として翌年2月16日〜3月15日に行います。なお、確定申告が不要な人がふるさと納税の控除のためだけに申告する「還付申告」は、対象年の翌年から5年間さかのぼって行える点も覚えておくと安心です。
Q4. どちらを選ぶと控除額が多くなりますか?
ワンストップ特例でも確定申告でも、自己負担2,000円を除いた控除の合計額はほぼ同じになるよう設計されています。控除される税金の種類(住民税のみか、所得税+住民税か)が違うだけで、トータルの恩恵で大きく損得が出るわけではありません。手続きの手間や、ほかに確定申告が必要かどうかで選ぶのが基本です。
Q5. 共働き夫婦の場合、名義はどう考えればいいですか?
ふるさと納税の控除は、実際に寄付(支払い)をして、申し込み名義になっている本人に対して適用されます。クレジットカードの名義と寄付の申し込み名義が一致している必要があるため、夫婦それぞれが自分の名義・自分の上限額の範囲で寄付・申請するのが基本です。具体的な上限額は収入によって変わるため、完全ガイドの上限額の考え方も参考にしてください。
Q6. 複数の自治体に寄付しました。ワンストップ特例の申請書は1枚で足りますか?
足りません。ワンストップ特例の申請書は、寄付した自治体それぞれに提出する必要があります(同じ自治体に何回か寄付した場合の扱いは、その自治体の案内を確認してください)。どこか1つの自治体への提出を忘れると、その自治体への寄付はワンストップ特例では控除されません。
翌年1月10日を過ぎてから提出漏れに気づいた場合は、確定申告で控除を受けられます。ただし、確定申告をするとワンストップ特例の申請はすべて無効になります。提出済みの自治体の分も含めて、1年分の寄付をすべて申告書に記載してください。
まとめ:迷ったら「他に確定申告が必要か」で判断
ワンストップ特例と確定申告の違いを、もう一度シンプルに整理します。
- 会社員などで、寄付先5自治体以内、ほかに申告の予定がない → ワンストップ特例(手軽・期限は翌年1月10日必着・控除は住民税から)。
- 自営業、別の理由で確定申告する、寄付先6自治体以上 → 確定申告(所得税+住民税から控除・期限は原則3月15日)。
- 両者の併用はできない。確定申告をするならふるさと納税も必ず申告に含める。
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出典
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html (2026年9月29日確認)
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/procedure.html (2026年9月29日確認)
- 総務省「制度改正について(2015年4月1日)」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20150401.html (2026年9月29日確認)
- 国税庁「ふるさと納税をされた方へ(令和7年分 確定申告特集)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/furusato.htm (2026年9月29日確認。2026年9月時点で公開されているのは令和7年分の案内)
注意書き
本記事は2026年9月時点の公式情報をもとにした一般的な解説です。控除の上限額や手続きの詳細は、お住まいの自治体や寄付先自治体、個人の所得状況によって異なる場合があります。実際の申請・申告にあたっては、総務省・国税庁・各自治体の最新情報や、必要に応じて税理士・税務署にご確認ください。
著者
JACK|2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。NISA・iDeCo・保険・税金・ふるさと納税など、制度に基づいた中立的な比較・解説を行っています。
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