NISA・iDeCo

【2026年版】外国税額控除 完全ガイド|米国株・米国ETF配当の二重課税を確定申告で取り戻す方法・NISAが対象外の落とし穴を投資家JACKが徹底解説

米国株や米国ETFで配当金を受け取ったとき、「あれ、思ったより手取りが少ない…」と感じたことはありませんか。実はその原因は、米国と日本で同じ配当に二重で税金がかかっているからです。そして、この二重取りされた税金の一部は、確定申告で「外国税額控除」を使えば取り戻せます。投資家JACKとして11年間、数多くの方の資産形成を見てきましたが、この制度を知らずに毎年数万円を取りこぼしている方が本当に多いと感じています。

この記事では、外国税額控除の仕組みから具体的な還付シミュレーション、確定申告の手順、そして「やってしまいがちな失敗」までを、できるだけわかりやすく解説します。米国ETFや米国高配当株で配当を受け取っている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

外国税額控除とは?米国株・ETF配当にかかる「二重課税」の正体

外国税額控除とは、外国で課税された税金を、日本の所得税・住民税から差し引いてくれる制度です。なぜこんな制度が必要なのかというと、米国株や米国ETFの配当には、米国と日本の両方で税金がかかる「二重課税」が発生しているからです。

具体的な流れを見てみましょう。たとえばVTIやVYMといった米国ETFから100ドルの配当が出たとします。まず米国側で10%の源泉徴収がかかり、90ドルになります。その90ドルが日本に入ってくると、今度は日本側で20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課税されます。つまり、もともとの100ドルの配当に対して、米国で10ドル、日本で約18ドル、合計で約28ドルもの税金が引かれてしまうわけです。

これは明らかに取られ過ぎですよね。本来であれば日本国内の配当と同じく20.315%で済むはずなのに、米国の10%が上乗せされている状態です。この「日本と外国で重複して課税された分」を調整するために用意されているのが、外国税額控除という仕組みなのです。確定申告でこの控除を申請すれば、米国で引かれた10%分の全部または一部が、日本の税金から差し引かれて戻ってきます。

なお、日本株の配当には米国源泉税はかかりませんので、外国税額控除は基本的に「米国株・米国ETF・外国株式・海外REITなど、外国で源泉徴収された配当」を持っている人だけが対象になります。

還付される金額はいくら?具体的シミュレーション

「制度はわかったけど、実際いくら戻るの?」というのが一番気になるところだと思います。ここでは具体的な金額でシミュレーションしてみましょう。

仮に、年間の米国ETF・米国株の配当が日本円換算で30万円あったとします。このうち米国で源泉徴収される10%は3万円です。外国税額控除を使えば、この3万円の全部または一部が日本の所得税・住民税から差し引かれます。つまり、確定申告をするだけで最大3万円が戻ってくる可能性があるということです。

配当額が大きくなるほど、取り戻せる金額も大きくなります。配当が年間100万円あれば米国源泉税は10万円、ここから外国税額控除で取り戻せる金額も相応に増えます。長期で米国株投資を続けている方にとって、毎年これを申告するかしないかは、10年20年の積み重ねで数十万円〜100万円単位の差につながります。

もう少し身近な例で考えてみましょう。たとえば毎月3万円ずつ高配当ETFに積み立てて、配当利回り3.5%のポートフォリオを長期で育てたとします。資産が1,000万円まで成長すれば、年間の配当は約35万円。このうち米国で引かれる10%は約3.5万円です。これを毎年確定申告で取り戻すのと、知らずに放置するのとでは、配当を再投資する効果まで含めると、20年後には100万円以上の差になることも珍しくありません。「たかが10%」と侮れない理由がここにあります。

ただし、ここで一つ重要な注意点があります。外国税額控除には「控除限度額」という上限があり、その年に納める日本の所得税額に応じて、控除できる金額が決まります。計算式は「その年の所得税額 × (国外所得 ÷ 所得総額)」です。所得税が少ない方や、配当に対して所得が小さい方の場合、米国で引かれた10%が全額は戻りきらないこともあります。「3万円払ったから必ず3万円戻る」とは限らない点は押さえておきましょう。控除しきれなかった分は、翌年以降3年間繰り越すことができます。

外国税額控除を受けるための条件と確定申告の手順

外国税額控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。給与所得者で普段は年末調整だけで済ませている方も、この控除を受けるには自分で確定申告をする必要があります。手間はかかりますが、戻ってくる金額を考えれば十分に価値があります。

手順を整理すると、おおむね次のような流れになります。

  • ① 年間取引報告書・配当金の支払通知書を用意する:証券会社のサイトから「特定口座年間取引報告書」や「外国株式等配当金のお知らせ」をダウンロードします。ここに外国所得税額(米国で引かれた税金)が記載されています。
  • ② 配当所得を申告する:確定申告書で配当所得を「総合課税」または「申告分離課税」として申告します。どちらを選ぶかは後述します。
  • ③ 外国税額控除に関する明細書を作成する:国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って入力するだけで自動計算してくれます。外国所得税額、国外所得、所得総額などを入力します。
  • ④ 提出して還付を受ける:e-Taxまたは書面で提出します。還付がある場合は、申告から1〜2か月程度で指定口座に振り込まれます。

最近は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が非常に使いやすくなっており、外国税額控除も画面の質問に答えていけば計算してくれます。証券会社の年間取引報告書さえ手元にあれば、初めての方でも30分〜1時間程度で入力できるはずです。

なお、配当を申告するときには「為替の取り扱い」も気になるところですが、特定口座であれば証券会社が円換算済みの金額を年間取引報告書に記載してくれているため、基本的にその数字をそのまま使えば問題ありません。外国所得税額も同様に円換算されて記載されています。複雑な為替計算を自分でやり直す必要はないので、構えすぎなくて大丈夫です。書類が手元に揃っていれば、想像しているよりもずっとシンプルに申告できます。

一点だけ補足すると、外国税額控除を受けるために配当を申告すると、その配当所得が確定申告書に載ることになります。特定口座(源泉徴収あり)で完結させていた方が、あえて申告に含める形になるため、後述する所得制限への影響だけは事前に確認しておきましょう。

総合課税・申告分離課税どちらを選ぶ?NISAは対象外という落とし穴

外国税額控除を申告するうえで多くの方が迷うのが、配当を「総合課税」で申告するか「申告分離課税」で申告するかという点です。

ざっくりした目安としては、課税所得が695万円以下くらいの方であれば、総合課税を選んで配当控除と組み合わせたほうが有利になるケースが多いです。一方、所得が高い方や、株式の譲渡損失と損益通算をしたい方は、申告分離課税のほうが有利になることがあります。このあたりの判断は、配当所得の課税方法の選び方を詳しく解説した記事も参考にしてみてください。

そしてもう一つ、絶対に押さえておきたい大きな落とし穴があります。それはNISA口座で受け取った米国株・米国ETFの配当は、外国税額控除の対象にならないという点です。NISAはそもそも日本側の税金が非課税なので、二重課税を調整する余地がなく、米国で引かれる10%はそのまま取られっぱなしになります。

これは多くの方が誤解しているポイントなので、改めて強調しておきます。NISA口座の米国ETF配当からは外国税額控除で取り戻せません。米国の高配当ETFをNISAで大量に保有している場合、この10%は「NISAの非課税メリットと引き換えに諦めるコスト」と割り切る必要があります。逆に、課税口座(特定口座)で受け取った配当であれば外国税額控除の対象になりますので、NISA枠と課税口座の使い分けを考えるうえでも重要な視点になります。

外国税額控除で損しないための注意点・よくある失敗

最後に、外国税額控除を活用するうえで気をつけたいポイントと、よくある失敗をまとめておきます。

まず一つ目は、「申告すること自体を忘れている」という最も多いパターンです。証券会社が自動でやってくれるわけではないので、自分で確定申告をしなければ1円も戻ってきません。毎年の確定申告のチェックリストに「外国税額控除」を入れておきましょう。

二つ目は、控除限度額を超えてしまうケースです。前述のとおり、その年の所得が少ないと控除しきれないことがあります。控除しきれなかった外国所得税は3年間繰り越せるので、忘れずに繰越の手続きをしておくと、所得が増えた年にまとめて活用できます。

三つ目は、住民税側の控除も忘れないことです。外国税額控除は所得税だけでなく住民税からも控除されます。確定申告のデータが自動的に自治体に連携されるので特別な手続きは不要ですが、「所得税で控除しきれなかった分が住民税で控除される」という仕組みを理解しておくと安心です。

四つ目は、配当をあえて申告することで、扶養や社会保険料、各種の所得制限に影響が出る場合があるという点です。特に総合課税を選ぶと配当が合計所得金額に加算されるため、配偶者控除の判定や国民健康保険料に跳ね返ることがあります。少額の還付のために他の負担が増えては本末転倒なので、配当額が大きい方や扶養に入っている方は、トータルで損得を確認してから申告方法を決めましょう。

五つ目は、そもそも対象になるかどうかの勘違いです。外国税額控除の対象は「外国で源泉徴収された税金」ですので、為替差益や、外国株を売却したときの譲渡益そのものには適用されません。あくまで配当・分配金にかかった外国源泉税が対象です。また、投資信託を通じて間接的に米国株に投資している場合は、ファンドの種類によって外国税額控除の取り扱いが変わります。国内籍の投資信託では分配金の支払通知書に外国所得税額が記載されていれば対象になりますが、再投資型でそもそも分配金を出していないファンドでは個人が控除を受ける場面はありません。自分が持っている商品が対象なのかどうかを、年間取引報告書の記載で一度確認しておくと安心です。

こうした注意点を踏まえても、米国株・米国ETFで継続的に配当を受け取っている方にとって、外国税額控除は申告する価値が非常に高い制度であることは間違いありません。最初の1回さえ流れをつかんでしまえば、翌年以降は同じ手順を繰り返すだけです。

まとめ:米国株・ETFの配当があるなら毎年の確定申告で取り戻そう

外国税額控除は、米国株・米国ETFの配当にかかる「二重課税」を取り戻すための制度です。米国で源泉徴収された10%の全部または一部を、確定申告を通じて日本の所得税・住民税から差し引くことができます。配当が年間30万円あれば最大3万円、100万円あれば最大10万円と、配当額が大きいほど取り戻せる金額も増えていきます。

一方で、NISA口座の配当は対象外であること、控除限度額には上限があり所得によっては全額戻らないこと、総合課税と申告分離課税の選択で有利不利が変わることなど、押さえておくべきポイントもいくつかあります。それでも、課税口座で米国株投資を続けている方にとっては、毎年コツコツ申告するだけで長期的に大きな差が生まれる、非常に費用対効果の高い制度です。

米国ETFや米国高配当株への投資を考えている方は、配当を受け取る「入口」だけでなく、税金を取り戻す「出口」まで含めて戦略を組み立てることが、手取りリターンを最大化する近道です。今年の確定申告では、ぜひ外国税額控除を活用してみてください。

あわせて、米国ETFの選び方や配当課税の基礎を知りたい方は、以下の関連記事も参考にしてみてください。

  • この記事を書いた人

投資家JACK

投資家JACK|個人投資家・投資情報発信者(2015年〜11年目)。FX歴15年以上、FX口座10社以上を実際に開設・運用してきました。AFP関連の学習経験あり。X(旧Twitter)@jack_coremember にて、FX・ネット証券・NISA・iDeCo・クレジットカード・暗号資産・節税・ふるさと納税など、実体験をもとに初心者向けにわかりやすく比較・解説しています。

-NISA・iDeCo